近年働き方改革の推進により、本業以外に副業(ダブルワーク)を行う会社員が増加しています。
収入の増加やスキルアップを目指せる一方で副業を始めるにあたっては、税金に関する適切な知識と手続きが不可欠です。特に年末調整と確定申告は、自身の所得を正確に申告し適切な税金を納めるために避けて通れない手続きとなります。
そこでこの記事ではダブルワークにおける年末調整と確定申告の基本から必要となるケース・手続きの流れ・よくある疑問や注意点まで、詳細に解説します。
目次
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1.副業(ダブルワーク)とは?
ダブルワークとは、2つの仕事を掛け持ちすることを指します。明確な定義はありませんが一般的には正社員として働きながら、アルバイトやその他の方法で副収入を得るケースが多いです。
例えば週末のコールセンター勤務・本業の合間にWebライティング・プログラミングスクールの講師をするなどが挙げられます。アフィリエイト・クラウドソーシング・フリマアプリ、さらには株式投資や不動産投資も副業とみなされることがあります。
ダブルワークで収入が増えると、その分税金も増えることになります。会社員の場合通常は勤務先が所得税の計算や納税を代行してくれる「年末調整」を行いますが、ダブルワークで得た収入については本業の会社の年末調整だけでは精算できない場合があります。
これは、年末調整が基本的に1つの勤務先でしか行えないためです。日本の税制は「申告納税制度」であり納税者が自ら税制を理解し、所得額と税額を算出して申告・納税する形をとっています。副業収入がある場合も原則として適切に申告・納税する義務があります。
2.年末調整と確定申告の基本
所得税の過不足を調整する手続きには「年末調整」と「確定申告」があります。ダブルワークをしている人はどちらが必要になるのか、あるいは両方が必要なのかを理解しておくことが重要です。
年末調整とは
年末調整とは企業が従業員の給与から毎月天引きしている所得税(源泉徴収税額)と、本来納めるべき正確な税額との過不足を精算する手続きです。
毎月天引きされる所得税はあくまで概算であり扶養家族の状況や生命保険料の支払いなど、個人の事情による控除が考慮されていません。年末調整はこれらの控除を反映させ、正しい税額に調整するために行われます。
年末調整は基本的に本業の勤務先で行います。そして年末調整は1か所の勤務先でしか受けられません。複数の職場から年末調整の書類を受け取ったとしても手続きは最も給与が多い勤務先など、1か所のみで行う必要があります。これは、所得控除が重複して適用されることを防ぐためです。
年末調整で提出する主な書類には「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」・「給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書」・「給与所得者の保険料控除申告書」などがあります。
年末調整の対象となるのは主に会社員・パート・アルバイトなど、給与を受け取っており「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出している人です。
一方で年間の給与収入が2,000万円を超える人や、2か所以上から給与を受け取っており他の勤務先に扶養控除等申告書を提出している人などは年末調整の対象になりません。
確定申告とは
確定申告とは1月1日から12月31日までの1年間の所得を計算し、税務署に申告して納税する手続きを指します。個人事業主やフリーランスは自身でこの手続きを行う必要がありますが、会社員であっても特定の条件下では確定申告が必要になります。
確定申告を行うことで受けられる所得控除は年末調整で受けられるものに加えて医療費控除・寄附金控除・雑損控除・住宅ローン減税(初年度分)など多岐にわたります。
3.ダブルワークで確定申告が必要なケース
ダブルワークをしている場合、多くの方が確定申告の対象となります。
「20万円ルール」とは
副業の確定申告において、最もよく耳にするのが「20万円ルール」です。これは副業による所得の合計が年間20万円以下であれば、基本的に所得税の確定申告は不要となるという特例です。
ここで重要なのは「収入」と「所得」の区別です。
収入:事業活動で得た売上や報酬の総額
所得:収入から必要経費を差し引いた金額
例えば副業がパートやアルバイトの場合には制服や機材は雇用主が用意するため、得られる給料はすべて「収入」とみなされます。一方Webライター・デザイナー・クラウドソーシングなど個人事業的な形態の副業では、仕事に必要な道具や機材の購入費用などが「経費」として認められます。
この場合売上から経費を差し引いた金額が「所得」となり、この所得が20万円以下であれば確定申告は基本的に不要です。
確定申告が必要となる状況
「20万円ルール」があるものの、以下のような場合は確定申告が必要です。
両方の職場で年末調整を受けていない場合:ダブルワークをしている2つの職場から給与を受け取っているにもかかわらず、どちらの職場でも「扶養控除等(異動)申告書」を提出していないなどの理由で年末調整を受けていない場合は、確定申告が必要です。
年末調整を2カ所以上で行ってしまった場合:誤って複数の勤務先に「扶養控除等(異動)申告書」を提出し2カ所以上で年末調整を受けてしまうと、所得控除が重複して適用され納税額が正しく計算されません。この場合、確定申告で改めて所得税の精算を行う必要があります。
本業の勤務先で年末調整を受けていても副業(給与所得)の収入が合算されていない場合:この場合確定申告が必要です。ただし年末調整されていない給与収入の合計と、給与所得および退職所得以外の所得金額が20万円以下の場合(つまり、副業の給与収入のみで20万円以下の場合)は確定申告が不要とされています。
副業の所得が20万円を超える場合:前述の通り副業が個人事業主形態の場合、所得(収入から必要経費を差し引いた額)が20万円を超えると確定申告が必要です。
次の計算で残額が生じた場合:各種所得の合計額(譲渡所得や山林所得等を含む)から所得控除を差し引き、課税所得金額を算出します。次に算出した課税所得に所得税率を乗じて所得税額を求めます。
そして求めた所得税額から配当控除額および定額減税額を控除します。
確定申告が不要でも住民税申告は必要
「20万円ルール」は所得税にのみ適用される特例であり、住民税には適用されません。したがって副業の所得が20万円以下で所得税の確定申告が不要な場合でも、居住地の市区町村に対して住民税の申告が必要です。
確定申告の情報は税務署から市区町村へ送られますが確定申告をしない場合、副業の所得が住民税の計算に含まれず正しい税額が計算できません。
必要な書類には市民税・県民税申告書・マイナンバー確認書類・所得証明書(源泉徴収票・支払調書・経費のわかる書類など)・各種控除の証明書などがあります。
4.確定申告をした方が良いケース
確定申告の義務がない場合でも、申告を行うことでメリットがあるケースがあります。
源泉徴収されすぎた税金の還付を受ける:毎月の給料や報酬から所得税が源泉徴収されている場合でも、令和7年(2025年)分以後は年間の総収入が123万円以下であれば納める所得税は0円になります。
しかし源泉徴収はあくまで概算であり、払い過ぎている税金がある可能性があります。
確定申告をしないとこの還付金を受け取れないため、たとえ少額であっても確定申告をすることがおすすめです。
医療費控除などの所得控除を受ける:医療費控除や住宅ローン控除(初年度分)など年末調整では適用できない控除を受ける場合も、確定申告が必要です。
5.副業の所得の種類と税金
副業で得た収入は、主に「給与所得」「事業所得」「雑所得」のいずれかに分類されます。これらの所得区分によって、確定申告の方法や税金の扱いが異なります。
給与所得
給与所得とは、会社から従業員へ支払われる給与や賞与などの所得です。副業としてパートやアルバイトを行って得た収入もこれに該当します。
本業と副業の両方から給与を受け取っている場合には、本業で年末調整を行って副業分は確定申告で合算して申告する必要があります。給与所得の場合、通常は雇用主によって源泉徴収されています。副業の給与所得が年間20万円を超える場合は確定申告が必要です。
事業所得
事業所得とは農業・製造業・卸売業・小売業・サービス業など、事業主自身が独立して継続的に営む事業から得た所得を指します。副業が事業所得と認められるかどうかは活動の継続性・事業規模・費やされた時間・収入規模などを総合的に考慮して判断されます。
事業所得と認められると、「青色申告」を選択できる可能性があります。青色申告は複式簿記での記帳が必要となりますが、以下のような大きなメリットがあります:
青色申告特別控除
青色申告を行う事業者(不動産所得や事業所得がある人)は正規の簿記(一般には複式簿記)で記帳しその帳簿にもとづく貸借対照表・損益計算書を確定申告書に添付して申告期限までに提出すると、最高65万円の控除が受けられます。
青色事業専従者給与
事業主と同一生計の配偶者や親族(15歳以上)でその事業に専ら従事している人に支払う給与は、事前提出の届出書に記載された範囲内なら原則「必要経費」として認められます。ただし、その人は「控除対象配偶者」や「扶養親族」にはなれません。
貸倒引当金
売掛金や貸付金など事業上の貸金について「将来の貸倒れ見込み額」を年末残高の5.5%まで引当金として計上すると、その額を必要経費にできます(金融業は3.3%)。
なお個別評価として特定の貸倒れ見込み分は、それぞれ上限まで別途引当可能です。ただし、その分は一括評価の対象外となります。
純損失の繰越しと繰戻し
事業所得などで赤字(純損失)が出て他の所得と相殺しきれない場合、その損失を翌年以降3年間繰り越して各年の所得から差し引けます。
令和5年4月1日以降の「特定非常災害」による損失は、条件次第で繰越期間が5年間に延長されます。
事業用資産の損失割合が10%以上 → その年の純損失すべて
損失割合が10%未満 → 災害による純損失分のみ
前年も青色申告をしていた場合には今年の純損失を前年分に「繰り戻して」申告し、前年の所得税を還付してもらうことも可能です。
青色申告の申請をしていない場合や、簡易的な帳簿で申告する場合は「白色申告」となります。白色申告は帳簿付けのハードルが低いですが、青色申告のような特典はありません。
雑所得
雑所得は他の9種類の所得区分(利子所得・配当所得・不動産所得・事業所得・給与所得・退職所得・山林所得・譲渡所得・一時所得)のいずれにも当てはまらない所得を指します。多くの副業収入がこれに該当します。
雑所得に該当する例:
ネットオークション・フリマアプリ・ネットショップの収入(単発の場合)
アフィリエイトの収入(事業規模でない場合)
原稿料・印税・講演料
FXや仮想通貨取引での利益(「その他」に分類)
雑所得の場合も、収入を得るためにかかった費用は必要経費として計上できます。例えば、業務で使用するパソコン・交通費・打ち合わせの飲食費・文房具・自宅を仕事場とする場合の家賃・水道光熱費の一部などが該当します。
雑所得は原則として帳簿付けの義務はありませんが、所得計算や税務処理を効率的に行うためには帳簿をつけておくことが推奨されます。またインボイス登録をしている場合は消費税法上、帳簿付けと適格請求書の発行・保存が義務付けられています。
源泉徴収の仕組み
源泉徴収とは給与や報酬を支払う事業者が、あらかじめ所得税相当額を差し引いて国に納付する制度です。これにより納税者と国の双方の負担が軽減され、税金の納付漏れが防がれます。
源泉徴収は給与所得者だけでなく、特定の報酬や料金の支払いを受ける個人も対象となる場合があります。例えばライターの原稿料・デザイナーのデザイン料・講演料・弁護士・公認会計士・司法書士などの専門家への報酬・プロスポーツ選手やモデルへの報酬などが源泉徴収の対象となります。
源泉徴収される金額は、報酬額に応じて一定の割合(通常は支払金額の10.21%など)が定められています。
副業で源泉徴収されている場合、確定申告をすることで税金が還付される可能性があります。源泉徴収は経費を考慮していないため確定申告で必要経費を計上することで課税所得が減り、源泉徴収された金額よりも実際の納税額が少なくなることがあるためです。
6.確定申告の方法と必要な書類
ダブルワークで確定申告が必要な場合の具体的な手続きと、準備すべき書類について解説します。
確定申告の期間
確定申告は、原則として所得があった年の翌年2月16日から3月15日までの間に行う必要があります。この期限を過ぎると、延滞税や無申告加算税といったペナルティが課される可能性があります。
ただし医療費控除など、税金の還付を受けるための確定申告(還付申告)は過去5年間にさかのぼって行うことができます。
必要な書類
確定申告には、主に以下の書類が必要です。
確定申告書:税務署の窓口で入手できるほか、国税庁のWebサイトからダウンロードして印刷することも可能です。「確定申告書A」と「確定申告書B」が一本化され、「確定申告書」のみになっています。
本業と副業の源泉徴収票:給与所得がある場合、すべての勤務先から発行された源泉徴収票が必要です。
支払調書:業務委託契約などで報酬を得ている場合、支払調書が必要になることがあります。ただし、支払調書は源泉徴収票と異なり、支払い先に交付義務はありません。
経費の領収書やレシート:副業でかかった経費を証明するために必要です。事業所得や雑所得で経費を計上する場合に重要となります。
各種控除の証明書:医療費控除の明細書・生命保険料控除証明書・寄附金受領証明書など、適用を受ける控除の種類に応じた証明書を準備します。
身分証明書:マイナンバーカードなども必要です。
提出方法
確定申告書は、以下のいずれかの方法で提出できます。
e-Tax(電子申告):インターネットを通じて申告書を作成し、提出までオンラインで完結できる便利な方法です。マイナンバーカードとICカードリーダライタ、または対応するスマートフォンが必要です。
郵送:作成した確定申告書を、納税地の税務署に郵送する方法です。確定申告書は「信書」に該当するため、「郵便物(第一種郵便物)」または「信書便物」として送付する必要があります。
税務署窓口への持参:直接税務署の窓口に提出する方法です。初めて確定申告を行う場合や、不明な点を相談しながら作成したい場合に利用できます。確定申告期間中は窓口が混雑することが予想されるため、早めの準備が推奨されます。
青色申告と白色申告
先述した通り確定申告には「青色申告」と「白色申告」の2種類があります。
青色申告:複式簿記という形式で帳簿に記帳し、事業の収支を正確に記録して申告する方法です。利用するには税務署への事前申請が必要です。
白色申告:青色申告の承認を受けていない事業者が、簡易的な帳簿(単式簿記)で申告する方法です。帳簿付けのハードルは低いですが、青色申告のような税制上の特典はありません。
最近では会計ソフトやクラウドサービスを利用することで、複雑な青色申告の帳簿作成も効率的に行えるようになっています。特別な事情がない限り、税制上のメリットが大きい青色申告を検討する価値があります。
7.副業が会社にバレるリスクとその対策
副業をしている会社員にとって、勤務先に副業が知られることは大きな懸念事項です。完全に副業がバレない方法というものは存在しませんが、リスクを減らすための対策はいくつかあります。
副業が会社にバレる主な原因
この節では副業が会社にバレる主な原因となる項目について解説します。
住民税の変動
最も多い原因が住民税であると考えられます。
会社員の場合住民税は通常、会社が給与から天引きして納める「特別徴収」が行われます。副業による収入が増えると住民税額も増加するため、本業の会社が把握している住民税額と実際の納付額に差が生じ「他に収入があるのではないか」と気付かれる可能性があります。
年末調整
年末調整の書類に副業の所得を記載して提出した場合や2カ所以上で年末調整を受けてしまうと、会社に副業が知られる可能性があります。
ただし、通常は年末調整の書類自体からバレる可能性は低いとされています。
SNSでの情報発信
SNSに副業に関する内容を不用意に投稿することでアカウントが特定され、副業がバレる可能性があります。匿名アカウントであっても投稿時間・位置情報・写真の内容などから身元が判明するケースがあります。
周囲の人への話
信頼できる同僚であっても、副業について話すことは避けるべきです。お金が絡む話は人間関係を複雑にし、予期せぬ形で情報が漏れる可能性があります。
社用パソコン・スマートフォンの利用
会社の貸与端末を副業に使用した場合、操作ログなどから業務外利用が発覚し副業がバレる原因となることがあります。
副業が会社にバレないための対策
この節では副業が会社にバレないための対策について解説します。
住民税の徴収方法を「自分で納付(普通徴収)」に選択する
確定申告を行う際申告書の住民税徴収方法の欄で「自分で納付」(普通徴収)を選ぶことで、副業分の住民税が給与から天引きされず自身で納付書を使って支払う形になります。
これにより会社が副業分の住民税額を把握しにくくなり、バレるリスクを減らせます。ただし自治体によっては普通徴収を認めない場合もあるため、事前に確認が必要です。
SNSや周囲の人への情報共有を避ける
副業に関する情報をSNSに投稿したり、同僚や上司に話したりすることは極力避けましょう。
会社の設備を副業に使わない
社用パソコンやスマートフォンなど会社から貸与された機器は、副業に一切使用しないように徹底しましょう。
副業が会社にバレた場合のリスク
副業がバレた場合には会社から副業の内容・期間・収入などについて説明を求められる可能性があります。また会社の就業規則で副業が禁止されている場合には副業が発覚すると会社によっては減給・降格、最悪の場合には懲戒解雇などの処分が下される可能性があります。
特に競業避止義務違反(同業種での副業)や情報漏えいなど悪質性が高いと判断された場合は、訴訟や損害賠償請求に発展することも考えられます。
8.インボイス制度が副業に与える影響
2023年10月1日から、消費税の「インボイス制度(適格請求書等保存方式)」が導入されました。この制度は、副業にも影響を与える可能性があります。
消費税の課税事業者(消費税を納める義務がある事業者)から副業の依頼を受けている場合、相手が仕入税額控除を受けるために適格請求書(インボイス)の発行を求めることがあります。
適格請求書を発行するためには、事前に税務署に申請して「適格請求書発行事業者」として登録する必要があります。この登録は消費税の課税事業者になることを前提としているため、登録すると消費税の納税義務が生じます。
インボイス登録をして課税事業者となった場合、副業の所得が20万円以下で所得税の確定申告が不要な場合でも消費税の確定申告と納税が必要になります。所得税と消費税は異なる税金であることに注意が必要です。
適格請求書発行事業者は、氏名や登録番号が国税庁のWebサイトで公表されます。登録番号が分かれば、本業の勤務先に副業をしていることがバレる可能性があります。
9.効率的な税務処理のために
ダブルワークの税務処理は複雑に感じられるかもしれませんが、効率的に行うための方法はいくつかあります。
事業所得や雑所得の副業では収入と経費を正確に把握するために、早い段階から帳簿付けを習慣化することが重要です。帳簿付けは確定申告の準備をスムーズにするだけでなく、事業所得として申告できる可能性を高めて節税にもつながります。
簿記の知識がなくても会計ソフトやクラウド確定申告ソフトを利用すれば、日々の取引明細の自動取得・仕訳の自動提案・確定申告書の自動作成などが可能となり、大幅に業務を効率化できます。
多くのソフトはe-Taxにも対応しており、自宅で申告を完結できます。
副業の支払いを事業用のクレジットカードにまとめることで経費管理が容易になり、確定申告時の書類作成の手間を減らせます。利用明細から事業用支出を明確にできるため、申告漏れも防げます。
10.まとめ
副業(ダブルワーク)は、個人の働き方や収入を多様化させる有効な手段ですが、それに伴う税金の手続きは適切に行う必要があります。
年末調整は本業の勤務先で1か所のみ行い、副業分の収入については原則として確定申告が必要です。また副業の所得が年間20万円以下であれば所得税の確定申告は不要ですが、住民税の申告は必須です。
源泉徴収されている場合や医療費控除などを適用したい場合は、所得が20万円以下でも確定申告を行うことで還付金を受け取れる可能性があります。
副業の所得の種類(給与所得・事業所得・雑所得)を理解し、それぞれに応じた適切な税務処理を行うことが重要です。特に事業所得の場合、青色申告を選択することで大きな税制優遇を受けられます。
副業が会社にバレるリスクを減らすためには住民税の徴収方法を「自分で納付」に設定し、SNSや周囲での不用意な発言、会社の設備使用を避けるなどの対策を講じましょう。
インボイス制度により適格請求書発行事業者として登録した場合は、副業の規模にかかわらず消費税の申告・納税が必要となるため注意が必要です。
慣れない税務手続きに戸惑うこともあるかもしれませんが、会計ソフトなどのツールを活用することで効率的に処理を進めることが可能です。適切な知識と準備をもってダブルワークを賢く、そして安全に進めていきましょう。
本記事が皆様にとって少しでもお役に立てますと幸いです。
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