退職が決まった人の中には社内外の人たちにどのタイミングで、どのような挨拶を行うべきか悩んでいる人は多いのではないでしょうか。また、退職の意思を会社に伝えにくいと思う人は珍しくなく、重荷となっている人もいるように思います。
しかし、円満な退職は社会人生活を続ける上で不可欠といっても過言ではありません。礼儀を欠いた退職や無責任な退職はその後のビジネスにおいて影響が出ることもあります。
本記事では、円満退社が必要な理由を確認した上で、退職挨拶の例文、退職の意思を伝えるタイミングなどを解説します。
目次
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1.円満退社が必要な理由とは?
退職すれば社内の人たちと関わる機会もないだろうに、挨拶をしてまわる必要があるのか疑問に思う人もいます。確かに、前職の人と二度と会わないこともありえますが、必ずしもそういうわけではありません。
転職先が同じ業界の場合、退職した会社と新しく入社した会社の従業員同士がつながっている可能性があります。従業員同士に横のつながりがあったり、イベントやセミナーなどで同席することがあります。こうした場合、「うちに新しく入社した〇〇さんは、そちらの企業で過去に働いていたんですね」と話題に上がることもあります。このため、礼儀を欠いた退職をしてしまうと、この話が先方に伝わることもありえるのです。
また、きちんと退職をすれば、前職の人間関係を今後のビジネスで活かせることもあります。現段階では将来的にも関わることがないと思っている相手でも、未来については誰にも分りません。いつの日か、「きちんと退職していれば、前に勤めていた会社の人を頼れたのにな」と思う日があるかもしれません。
円満退社はこれまでお世話になった人への礼儀として大切なだけではなく、自分自身のためにも大切なことです。
2.【メール編】退職挨拶の例文
退職挨拶は日常的に顔を合わせる人に対しては直接伝えるのがマナーですが、規模が大きい企業などではさほど面識がなかった人にはメールで伝えても問題ありません。ここでは、社内向けと社外向けに分けて、退職挨拶の例文を紹介します。
社内の場合
社内向けの退職挨拶のメールは最後の挨拶としての意味合いが大きくなります。メールを送るタイミングは会社によって異なりますが、最終出社日に送ることが多いです。
送る相手に明確な決まりはありませんが、一緒に仕事をしたことがある人には送信しておくことをおすすめします。
なお、同じ文面を一斉送信する場合は宛先(TO)に自分のメールアドレス、BCCに各送付先を入力してください。
社内向け退職挨拶メールの例文
件名:[部署名]部の[氏名]退職のごあいさつ |
お疲れさまです、〇〇部の〇〇と申します。
本来であれば直接ご挨拶すべきところ、メールでのご挨拶となり失礼いたします。
仕事を通じて得た知識やスキルはもちろん、皆様からのご指導やあたたかいサポートに心から感謝申し上げます。特に、[エピソードや励ましの言葉]は私にとってかけがえのない思い出です。
署名 〇〇 〇〇 連絡先(退職後も連絡を取りたい場合はメールアドレスや電話番号を記載) |
社外の場合
社外への退職挨拶メールではこれまでの感謝を述べるだけでなく、後任担当者や引き継ぎについて必ず触れてください。また、退職日の2~3週間前に送る際は退職日を必ず明記しましょう。
社外向け退職挨拶メールの例文
退職のご挨拶([社名] [氏名]) |
株式会社〇〇 〇〇部
署名 〇〇 〇〇 会社の所在地、および問い合わせ先 |
3.【スピーチ編】社内向け退職挨拶の例文
企業によっては終業時間前や送別会において退職者の挨拶の時間を設けています。人前で話すことに苦手意識を感じている人もいると思いますが、お世話になった人に感謝の気持ちを伝えられる貴重な機会です。
退職の挨拶を直接行う際はネガティブなことにはふれず、日頃の感謝やこの会社で得たこと、思い出に残っている出来事などを話します。
社内向け退職挨拶の例文(新卒で入社したエンジニアの場合)
この度は、私の退職挨拶のために時間を割いていただき、ありがとうございます。一身上の都合により、本日をもちまして退職させていただくことになりました。
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4.退職の意思を伝えるタイミングと例文
転職を含む一身上の都合により退職する場合、民法第627条に基づき、退職の申し入れは退職予定日の2週間前までに行う必要があります。
ただし、社内規則で、退職の1カ月前に退職の旨を申し出ることと定めている企業もあるため注意が必要です。引継ぎや社内調整などを考慮すると、現実的には2週間では十分ではないためです。
退職が確定しており、後任の選定や引継ぎ業務を余裕をもって行いたい場合、2ヶ月前に伝えても問題ありません。これだけの期間があれば、会社は新たな人材を採用できますし、後任者も準備を整えられます。
上司や人事に退職の意思を伝える際の例文
〇〇さん、お疲れ様です。お時間少しよろしいでしょうか?ご相談したいことがあります。
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5.円満に退職する流れ
退職する流れに定まったルールはないものの、以下の流れに従って退職の準備をすることでスムーズです。
円満に退職するためには以下の流れを参考に行動してみてください。
退職日を確定する
退職届・退職願を提出する
業務を引き継ぐ
取引先に退職の挨拶をする
上司や同僚など社内の人たちに挨拶する
ネガティブな話はしない
それぞれ確認していきましょう。
退職日を確定する
退職する意思が固まったら退職日を確定します。転職による退職の場合は入社日を考慮して決めるものですが、現在在籍している会社の意向もしっかり汲み取る必要があります。
転職先から「〇月〇日までに入社してほしい」と言われていたとしても、退職日を一方的に決め、現職の業務を丸投げしないようにしてください。
退職届・退職願を提出する
退職日が決まったら、退職届もしくは退職願などの書類を提出します。
フォーマットが定められている場合もあれば、そうでない場合もありますので、人事担当者に確認してください。
なお、転職による退職は「一身上の都合」による退職です。退職届・退職願には転職先の社名を記載する必要はありません。
業務を引き継ぐ
自分の業務を引き継ぐ後任者を決めます。ただし、後任者の選定は上司やマネジメント層が行うこともあるため、選定作業に必ずしも携わるわけではありません。
後任者の決定後、後任者に業務の説明を行ったり、業務内容を整理して引き継ぎできる状態に整えます。
取引先に退職の挨拶をする
社外の人とも関わりがある場合は後任者が決まったタイミングで退職の旨を伝えます。
取引先とのやり取りは今後の取引にも大きく影響しますので、自分勝手に連絡するのは控えてください。
取引先には後任者と共に訪問して挨拶を行うのがベストですが、日程が合わない場合や遠方の場合はメールや電話などで挨拶します。
上司や同僚など社内の人たちに挨拶する
これまでお世話になった社内の人たちに退職の挨拶をします。
人間関係や雇用環境などを理由に退職する人の中には感謝の言葉を述べたくない人もいますが、少なからずお世話になり、お給与をもらっていたことを忘れてはなりません。
深く関わった人には直接挨拶するのが望ましいですが、関わりの少ない人にはメールでの挨拶でも問題ありません。
6.入社準備チェックリスト
退職の挨拶を終えたら、次は入社に向けての準備が始まります。初日に与えた印象は今後のイメージを左右するため、きちんと準備して臨みましょう。
入社までに必要な準備について、以下の2つの観点から解説します。
入社初日に必要な持ち物・服装
事前に送る上司・チーム宛挨拶メール例文
それぞれ確認していきましょう。
入社初日に必要な持ち物・服装
入社初日は挨拶があることも多いので、服装はスーツ、もしくはオフィスカジュアルがおすすめです。スーツ着用の職場であればスーツ、オフィスカジュアル、もしくは私服通勤の企業についてはいつも以上に清潔感のある服装を心掛けてください。
スーツの着用が必要ない企業に入社予定で、初日に何を着ればよいか迷っている人は、以下の服装を参考にしてみてください。
男性 | 襟付きシャツ、ニット、ジャケット、カーディガン、スラックス |
---|---|
女性 | 襟付きシャツ、ブラウス、カーディガン、ニット、膝が隠れる丈のスカート、スラックス、ワンピース |
事前に送る上司・チーム宛挨拶メール例文
企業によっては入社前に上司やチームにメールを送る必要はないものの、事前に挨拶をしておくことで、良いスタートを迎えやすくなります。
以下、上司に送る挨拶メールとチームに送る挨拶メールの例文を見ていきましょう。
上司に送る挨拶メールの例文
件名: 入社前のご挨拶([氏名]) |
株式会社〇〇 〇〇部
---------------------------------------------- [氏名] [連絡先情報(必要に応じて)] |
チームに送る挨拶メールの例文
件名:入社前のご挨拶([氏名]) |
[チーム名]の皆さま
---------------------------------------------- [氏名] [連絡先情報(必要に応じて)] |
7.転職初日の流れ・挨拶例文
転職初日は各種説明を受けたり、これからお世話になる人たちに挨拶回りを行うなど慌ただしい一日となります。一日を滞りなく終えるには事前に流れを把握し、挨拶文を考えておくことがポイントです。
転職初日に必要なことについて、以下4つの観点から解説します。
初日のタイムスケジュールと動き方
挨拶回りは誰にどこまで?
初日自己紹介(口頭)例文とコツ
初日チャット・メール挨拶テンプレート
それぞれ確認していきましょう。
初日のタイムスケジュールと動き方
転職初日のタイムスケジュールは企業によって異なるため一概にはいえませんが、一般的な流れとしては以下のようになります。
①入社手続き・研修
各種書類の提出、身元確認、年金手帳や雇用保険被保険者証などの提出を行います。社内規則や業務内容について人事や上司から説明を受けることもあります。
なお、研修の内容や日数は企業によって異なります。また、研修はなく、すぐに業務に入る企業もあります。
②部署・デスクへ移動
入社手続きを終えたら、自分が働く部署に案内されます。この後、オフィスやデスクの使い方などの説明を受け、業務を開始する準備を行います。
この段階で、同僚や部署の担当者と初めての顔を合わせることが多いです。時間に余裕があるようであれば、自分の傍にいる人たちに簡単な挨拶をしておくことをおすすめします。
③自己紹介
入社初日は担当部署の同僚の前で自己紹介を行うのが一般的です。業務中に行うため、簡潔な自己紹介を心がけください。氏名、簡単な経歴、専門性など、仕事をする上で重要な情報のみを伝えます。
その場の雰囲気や与えられた時間によっては趣味や出身地、好きなものなどを付け加えると、その後の会話が弾み、周囲に溶け込みやすくなります。
④パソコンの設定
パソコンの設定作業を行います。会社の電子メール設定、ファイルの共有、アクセス許可、社内システムへのアクセス権の取得などです。
また、機密情報の管理やガイドラインについて説明を受けることもあります。
⑤引き継ぎ・業務開始
担当業務や具体的な業務内容、プロジェクトの状況について説明を受けます。
なお、初日はマニュアルの熟読や説明のみで終わることもあります。
挨拶回りは誰にどこまで?
転職の挨拶回りの範囲は会社の規模や社内の雰囲気などによって異なりますが、一般的には以下の範囲で行います。
大規模な会社(社員数300人以上の場合)
範囲 | 配属部署内の上司、同僚、および業務上関わる他部署の従業員 |
---|---|
ポイント | すべての社員に個別に挨拶することは現実的に不可能であるため、挨拶する人を絞ります。初日に挨拶できなかった人には翌日以降、もしくは顔を合わせた際に行います。 |
中規模な会社(社員数50~300人程度の場合)
範囲 | 配属部署、関係部署の関係者 |
---|---|
ポイント | 社員数が50人を超えると、全員に挨拶することが難しいだけでなく、一緒に仕事をする人も限られます。挨拶する人は自分と関わりの深い人に絞ります。 |
小規模な会社(社員数50人未満の場合)
範囲 | 全員 |
---|---|
ポイント | 小規模な会社では従業員全員の顔と名前が一致しています。新しく入社した人は全員に挨拶し、自分のことを覚えてもらうのが基本です。 |
転職初日に挨拶すべき範囲が分からない場合は、上司や人事に相談してみることをおすすめします。
初日自己紹介(口頭)例文とコツ
自己紹介は一日に何度も行うため、簡潔な文章を心掛けてください。笑顔で、ハキハキと自己紹介を行うことで、短期間のうちに周囲と打ち解けやすくなります。
【例文】初日自己紹介(口頭)
本日付で入社いたしました○○と申します。前職では[職種]の仕事で[担当業務、携わったプロジェクトなど]を担当しておりました。御社では[担当業務など]などに携わらせていただく予定です。
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初日チャット・メール挨拶テンプレート
テキストでの挨拶は相手と顔を合わせないため、文章のイメージがそのままあなたのイメージになります。誤字脱字がないかしっかり確認し、丁寧な文面を心掛けてください。また、長文メールは読み手側の負担になるためおすすめしません。
【例文】初日チャット・メール挨拶
件名:初日のご挨拶[氏名] |
◯◯部の皆さま
本日より皆様と一緒に働けることを心より楽しみにしております。何卒よろしくお願い申し上げます。
[あなたの名前] [連絡先情報(必要に応じて)] |
8.まとめ
転職による退職は一身上の都合による退職に該当します。転職は新たな一歩として喜ばしい気持ちになるものですが、会社にとっては後任者の選定や業務の引き継ぎなど、さまざまな手間がかかることを忘れてはなりません。
自分が働いていた会社や仲間たちにお世話になったことを思い出し、丁寧に挨拶するようにしましょう。
また、社外の人と業務において関わりがある場合は上司と相談の上で転職の旨を伝え、後任者を紹介します。
本記事が皆様にとって少しでもお役に立てますと幸いです。
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