エンジニアとして活動する中で、目標設定を求められてどうすれば良いか分からず、困ってしまうケースもあるのではないでしょうか。目の前の業務に追われていると、目標設定の作業がついつい後回しになってしまうこともあります。
しかしエンジニアが活躍し続けるためには、適切な目標設定が欠かせません。そこで本記事では、エンジニアにおける目標設定の重要性やメリット、ポイント、目標設定の例文などについて紹介します。
特に以下の方には、この記事をご一読いただきたいです。
キャリアアップを見据えた行動計画を立てたい若手エンジニア
評価制度に沿って成果目標を設計したい中堅エンジニア
フリーランスでも成長を可視化したいエンジニア
目次
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1.エンジニアの目標設定の重要性
エンジニアにとって、目標設定は非常に重要です。
目標を定めることでキャリアプランが明確になり、モチベーションの維持にも役立ちます。特に、ITテクノロジーが日進月歩で進化する現代では目標設定は不可欠です。目標を立てず漫然と業務に向かっているのみでは、最新の技術を身に付けられずエンジニアとしての市場価値が下がっていってしまいます。長期間に渡りエンジニアとして活躍し続けるためには、定期的に目標を見直し新しくする姿勢が重要です。
また、多くの企業では目標設定を管理や人事評価に取り入れています。目標に向けた進捗を確認することで、フォローや人事評価に役立てることが可能です。目標設定は、エンジニア本人にとっても、企業側にとっても重要であるといえるでしょう。
2.エンジニアが目標設定をするメリット
この章では、エンジニアが目標設定をするメリットを以下の5点に整理して解説します。
現状のスキルを整理・把握できる
将来のキャリアの方向性が具体的になる
モチベーションアップにつながる
スキルアップにつながる
企業の成長につながる
現状のスキルを整理・把握できる
エンジニアが目標設定をするメリットには、現状のスキルを整理・把握できる点が挙げられます。
目標設定をするなかで、自分の強みや弱み、そして不足している部分を整理することになるためです。自分ができること・できないことを把握しておけば、今後伸ばすべきスキルや取り組むべきポイントが分かってきます。
特に長年同じ職場に勤めているエンジニアや似た業務を担当しているエンジニアの場合、自分に足りないスキルや最新の情報を把握できていないこともあります。定期的に目標設定を行うことで、スキルの整理・把握をしましょう。
将来のキャリアの方向性が具体的になる
エンジニアが目標設定をするメリットとしては、キャリアの方向性がより具体的になる点も挙げられます。
目標を設定する過程で、エンジニアとして今後どのようにキャリアを歩んでいくのか考える機会が生まれるためです。将来の方向性が定まれば、習得すべき知識やスキル、経験すべき業務も明確になります。
ひとくちにエンジニアと言っても、実際には専門の分野によって求められるスキルや知識は多種多様です。将来のキャリアの方向性を早期に定められれば、早くより成長できるでしょう。
モチベーションアップにつながる
モチベーションアップにつながる点も、エンジニアが目標設定をするメリットの1つです。
目標が明確になることで目標達成に向けた目的意識が生まれ、毎日の業務にやりがいを感じやすくなるといえます。目標がないまま業務を漫然とこなしていると、モチベーションの維持は困難です。
目標達成自体に喜びを感じられる方であれば、目標設定がモチベーションアップによりつながりやすいと考えられます。また、目標達成に向けた活動の中で、自分の成長を実感しやすいでしょう。
モチベーションの有無は業務効率や成果物の質に関わる大切なポイントであるため、目標設定は重要です。
スキルアップにつながる
エンジニアにとって、目標設定はスキルアップにつながるポイントでもあります。
具体的な目標を決めることで、スキルアップに向けた学習を計画的に進められるようになるためです。たとえば、習得するスキルを決定することで「〇〇のスキルを身に付けるために、△△の資格取得に挑戦する」と行動がより具体的になります。
目標が高くなっていくに従って、自分のエンジニアとしての市場価値も高まっていくでしょう。トレンドに合ったスキルを身に付けて市場価値を高めるように、しっかりと目標設定を行うことが大切です。
企業の成長につながる
エンジニアが目標設定をすることで、エンジニア自身のみではなく企業の成長にもつながります。
在籍するエンジニアのスキルがアップすれば、組織全体の生産性向上につながるでしょう。企業を支えるのは社員であり、開発現場を支えているのはもちろんエンジニアです。ただし、エンジニアの成長が企業の成長に最大限つながるのは、個人の目標が企業の戦略や方針と同じ方向を向いているときだといえます。
経営層や上司とよく話し合い、どういった方向に成長すべきかを判断することが大切です。自分の目標達成が企業に取って成長の原動力になるようであれば、人事評価においてプラスに働くことも十分に考えられるでしょう。
3.エンジニアの目標設定の手順
この章では、エンジニアの目標設定の手順を以下の3ステップに整理して解説します。
キャリアビジョンを具体的に描く
キャリアビジョンと事業目標をすり合わせる
定量的な目標を設定する
①キャリアビジョンを具体的に描く
目標設定をするにあたってはまず、エンジニアとしてのキャリアビジョンをできるだけ具体的に描く必要があります。
キャリアビジョンが明確にならないと、目標に向かってどのような努力をすべきかが判断できないためです。自分の興味や希望、そして強みを整理して、今後どのようなエンジニアになりたいのかを整理します。
特に、以下の2点のうちどちらになりたいのかは、考えておくことが大切です。
スペシャリスト:特定の分野に特化したスキルを持つ存在
マネージャー:プロジェクトを管理する存在
上記のいずれを目指すのかによって、習得すべきスキルや経験すべき業務内容は大きく異なります。キャリアビジョンの明確化は、目標設定の最初に行っておくべきだといえるでしょう。
②キャリアビジョンと事業目標をすり合わせる
キャリアビジョンを具体的に考えたら、次に事業目標とのすり合わせを行います。
事業目標の達成につながる目標にしなければ、懸命に努力して達成しても人事評価にて高い評価を受けにくいためです。キャリアビジョンと企業の方向性が一致していれば、目標達成に向けた活動の支援も受けやすいと考えられます。
自分のキャリアビジョンと事業目標のすり合わせに役立つのが、上司との1on1ミーティングです。上司にキャリアビジョンについて聞いてもらい、事業目標とどう擦り合わせるべきなのか相談するとよいでしょう。
理想とする働き方に足りないスキルを整理し、どのような経験を積めば良いのか上司に相談してみてください。
③定量的な目標を設定する
自分のキャリアビジョンと事業目標をすり合わせたら、最後に定量的な目標を設定します。
定量的な目標でないと、何から取り組むべきなのか判断しにくく具体的な行動につながりにくいためです。これまでの工程で洗い出した自分に足りない点・スキルを念頭に置き、以下の点に注目して目標を設定してみましょう。
何をするか
何時までにするか
どのくらいするか
たとえば、「AIに関する知識を身に付ける」とだけ設定してしまうと、「じゃあ何をする?」の部分がはっきりとせず具体的な行動を起こしにくいと言えます。一方で「〇〇のテキストを月に2周する」と設定すると、具体的な行動につながりやすいものです。
4.エンジニアの目標設定におけるポイント
この章では、エンジニアの目標設定におけるポイントを以下の5点に整理して解説します。
ロールモデルを見つける
目標達成の期限を適切に設ける
目標は高過ぎず・低すぎずを意識して設定する
理想のキャリアパスから逆算する
先輩や上司に目標について相談する
ロールモデルを見つける
エンジニアが目標設定をする際には、ロールモデルを見つけることをおすすめします。
ロールモデルとは、「こんな存在になりたい」と自分が目標にする人物です。ロールモデルを見つけて現状の自分との違いを整理することで、具体的な目標を見つけやすくなります。もしロールモデルが身近にいて実際に話をできるようであれば、これまでのキャリアや目標設定への考え方などをインタビューすることもおすすめです。
ロールモデルを見つける際には、「こんな風になれたら素敵だろうな」とモチベーションが高まる人の方が、自分の成長につながりやすいでしょう。
目標達成の期限を適切に設ける
目標設定をする際には、期限を適切に設ける姿勢も大切です。
締め切りが決まっていないと、ついついやるべきことを後回しにしてしまう恐れがあるためです。期限を設けることで「いつまでに何をすべきか」が明確になり、積極的な行動につながりやすいと言えます。
ただし、あまりに厳しすぎる期限を設けると達成が現実的ではなくなり、かえってモチベーションを失ってしまう恐れもあり注意が必要です。現在の業務スケジュールや進捗状況を考慮して、実現可能な範囲で厳しい期限を設ける意識が大切でしょう。
決められた期限までのタスク消化を徹底する意識は、エンジニアとして活躍するためにも不可欠です。目標設定をする際には、「実現可能な範囲で厳しい期限」もセットにして考えてみてください。
目標は高過ぎず・低すぎずを意識して設定する
目標を設定する際には、「高すぎず・低すぎず」を意識する姿勢も大切です。
自分にとって難度があまりにも高い目標を設定してしまうと、「どうせ達成できない」と感じてしまい積極的な努力につながりにくいと言えます。一方で簡単すぎる目標を設定しても、達成が自分の成長になかなかつながりません。
自分の強みや弱み、不足しているスキルを十分に洗い出したうえで、適切な難易度の目標設定を行いましょう。ポイントは、「今の自分なら背伸びすればギリギリ達成できる」と思える難易度に設定することです。
理想のキャリアパスから逆算する
エンジニアの目標達成をする際には、理想のキャリアパスを描いたうえで逆算して設定することもおすすめです。
理想のキャリアパスを最終的なゴールにすることで、自分にとって無駄な目標を設定してしまうことを避けられます。一般的に魅力的なスキルを身に付けたとしても、自分が理想とする姿に向けて前進していなければ意義が少ないでしょう。
「自分の理想の姿」を具体化する際に役立つのが、ロールモデルの設定です。特に新人エンジニアであれば、「将来のビジョン」と言われても具体的には描きにくいものです。しかしロールモデルを見つけて自分との違いを整理すれば、どんな目標を設定すべきかが見えてきます。
先輩や上司に目標について相談する
もし目標設定に関して悩んでいたり明確な目標を定められていないと感じたら、先輩エンジニアや上司に相談してみるのも1つの方法です。
エンジニアの先輩たちがどのような目標設定を行ってきたのか聞くことで、自分の設定に活かせます。また、自分が現在設定している目標について聞いてもらい、どのように修正すべきか聞いてみるのも効果的です。
特に年次が近い先輩エンジニアであれば、自分の悩みを正確に理解してアドバイスに活かしてもらえる可能性が高まります。また、職場の上司であれば、自分のキャリアビジョンの実現につながる仕事を任せてもらえる可能性もあるでしょう。
5.経験年数別|目標設定の例文
この章では、エンジニアの目標設定の例を以下の経験年数別に整理して解説します。
エンジニア1年目(新人)
エンジニア3年目
エンジニア5年目
エンジニア10年目
エンジニア1年目(新人)
エンジニア1年目の新人の場合、仕事内容を覚えたり基礎的なスキルを習得したりすることに力をいれることが大切です。
たとえば、以下のような目標を設定すると良いでしょう。
業務マニュアルを2か月で読み切る
月に〇〇回以上のミスをしないようにする
基本情報技術者試験に1年以内に合格する
プログラミング言語の〇〇について初級資格を取得する
あまりに高い目標を設定してしまうと、モチベーションが上がらないだけでなくストレスを受けて精神的な余裕を失ってしまうこともあります。
エンジニア3年目
3年目のエンジニアであれば仕事にもなれ、任された業務は自力でひととおり行えるようになっていると考えられます。そこで目標設定時には、自分の市場価値アップや組織の向上につながるような目標設定がおすすめです。
たとえば、以下のような目標を設定すると良いでしょう。
新たなプログラミング言語「〇〇」を△月までに習得する
月に1回社外勉強会に参加し、得た情報・知識をチームで共有する
業務で良く使用するライブラリ「〇〇」を習得してナレッジを作る
ある程度スキルが身についてきた3年目のタイミングで、将来の理想像をイメージしながら目標設定を行ってみましょう。
エンジニア5年目
5年目のエンジニアの場合、今後「スペシャリスト」か「マネージャー」のいずれを目指すのかを意識した目標設定が大切です。
5年目にもなるとプロジェクトリーダーやリーダー補佐などの役割を任されるケースも増えます。自分が今後スペシャリストになりたいのかマネジメントを中心に担いたいのかを明確にし、目標を立てる姿勢が大切です。
たとえば、以下のような目標を設定すると良いでしょう。
専門的な資格を〇〇までに取得する
〇〇の実装を担当する
後輩エンジニアのメンターとして育成に貢献する
プロジェクトの進捗管理の役割を担う
自分の進みたいキャリアの方向性に合わせた、具体的な目標設定を心がけてみてください。
エンジニア10年目
エンジニアとして10年のキャリアを持つ場合、プロジェクトのリーダーや経営層との連携など重要な役割を担うケースも増えます。そのため、より高度な目標設定が求められていると考える姿勢が重要です。
たとえば、以下のような目標を設定すると良いでしょう。
経営層とも連携し、〇〇のベストプラクティスを確立する
技術選定を適切にできるようになる
クラウドサーバーの選定ができるようになる
コーチングスキルを磨いて後輩の成長支援を行う
予算内でのプロジェクト完遂を達成する
「スペシャリストとマネージャーのどちらのキャリアパスを目指すのか」は、この段階でも重要な視点です。
6.社内で活躍するエンジニアの特徴
この章では、社内で活躍するエンジニアの特徴を以下の3つに整理して解説します。
プログラミングの知識・スキルが十分にある
常に情報収集を怠らず学習意欲を持ち続けている
高いコミュニケーション能力を持っている
プログラミングの知識・スキルが十分にある
活躍できるエンジニアの特徴としてまず挙げられるのが、プログラミングに関する十分な知識・スキルを持っていることです。
プログラミングに関する高い専門性は、エンジニアとしての活躍に欠かせない要素だといえます。必要なプログラミング言語に関する知識を持っていないと、効率的な設計書を作成できません。チーム全体の効率を上げるためには、高い専門性を持ったうえで常に最新情報を収集しているエンジニアの存在が必要でしょう。
また、周囲や上司の信頼を得たり若手エンジニアを正しく導いたりするためにも、エンジニアとしての技術力は不可欠です。
常に情報収集を怠らず学習意欲を持ち続けている
常に情報収集を怠らず学習意欲を持ち続けていることも、活躍するエンジニアの多くに共通する特徴だといえます。
IT業界におけるテクノロジーの進化は急速に進んでおり、知識・情報を常にアップデートしていく姿勢がないとエンジニアとしての市場価値が下がっていってしまうためです。新しいプログラミング言語やフレームワークについて積極的に学び、自分のできる業務範囲を広げていく姿勢を持つことで初めて、市場価値を高められます。
新たな分野に知的好奇心を持ち続けられるか否かは、エンジニアとしての活躍における重要なポイントだと言えるでしょう。
高いコミュニケーション能力を持っている
活躍するエンジニアの特徴としては、高いコミュニケーション能力を持っている点も欠かせません。
プロジェクトを円滑に進めるためには、チームメンバーや他部署、そしてクライアントと良好な関係を築くことが大切であるためです。相手のいいたいことをくみ取り、こちらが伝えたいことを正確に伝えるコミュニケーション能力がなければ、関係者と良好な関係は築けません。
プロジェクトは、基本的にチームメンバーが役割分担をしながら協力して進めていくものです。自分とは異なるバックグラウンドを持つ人にも、臨機応変に対応して業務に当たる能力が不可欠でしょう。
7.まとめ
エンジニアにとって目標設定は、自らの成長や市場価値向上において欠かせない要素だと言えます。目標設定を行う過程で自らのスキル・知識の棚卸しを行い、将来のキャリアビジョンを描く機会が生まれます。
ただし、目標は自分にとって難しすぎても簡単すぎてもあまり効果がありません。自分の経験年数や持っているスキル、対応できる業務のレベル・範囲を理解したうえで、「自分ならギリギリ達成できる」と思える目標を設定しましょう。
本記事が皆様にとって少しでもお役に立てますと幸いです。
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