データやデータベースに興味があり、分析や解析の道で活躍したいとお考えであれば、「データ解析士」の資格認定を目指して勉強してみてはいかがでしょうか。
現代ではさまざまなデータが日々膨大に蓄積されており、企業や公的機関においてもビッグデータとしてどのように活用していくべきか模索している状況です。そのため、データに強い人材になることで、将来的なキャリア形成も、スムーズかつ安定したものになるでしょう。
本記事では、データ解析士資格認定の試験に関する概要をご紹介するとともに、合格に向けて勉強するメリットやデメリット、そして通信講座への取り組み方と勉強方法について解説していきます。
目次
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1.「データ解析士」資格認定の試験の概要
はじめに、データ解析士の試験に関する概要や相性の良いキャリアなど、関連する情報について解説していきます。
データ解析士とは
データ解析士は、一般財団法人実務教育研究所が認定する、データ分析の実践的なスキルを証明する民間資格です。試験範囲となるカリキュラムは、段階的に学ぶことでビジネスの現場で直面する複雑な課題を、統計的な手法を用いて解決に導く能力を測ることに重点が置かれています。
「データ解析士」資格認定は、単に数値を計算する能力だけでなく、分析結果からビジネスに有益な洞察を引き出し、データに基づいた合理的な意思決定を支援する、コンサルタントのような役割を果たす専門知識を備えていることを証明します。
資格取得の過程では、多変量解析といった高度な分析手法を体系的に学習し、感覚や経験則に頼るのではなく、客観的なデータを根拠に、ビジネス課題を解決する力が身につきます。
データ解析士と相性の良いキャリア
データ解析のスキルは、特定の職種に限らず、さまざまな分野で活用することができます。特に、以下のようなキャリアを目指す方にとって、データ解析士の資格は大きな強みとなるでしょう。
データサイエンティスト
マーケター
経営企画・事業企画
Webアナリスト
データベースエンジニア
アプリケーションエンジニア(データ処理領域)
これらの職種に共通して求められるのは、データという客観的な事実に基づいて判断し、ビジネス上の意思決定やシステム設計を進めていく姿勢です。特にエンジニア系の職種においては、SQLをはじめとしたデータベースの知識と、解析結果をどのように活用するかという視点の両方が求められます。
データ解析士の資格で得た知識は、現職の業務の質を高めるだけでなく、将来的な転職やキャリアチェンジにおいても大きなアピール材料となります。エンジニアとしてデータ処理や設計の経験を積むことで、データ解析スキルとの相乗効果が生まれ、技術領域も含めて、より高度な役割へとキャリアの幅を広げることができるでしょう。
データ解析士と統計士の違い
データ解析士と統計士は、どちらも統計の知識を扱う資格ですが、目的や活用の方向性が異なります。データ解析士は、ビジネスの現場で統計手法を実務に活かす力を身につけることに重きを置いており、課題の発見から解決までを支援する実践的なスキルを学べます。
一方、統計士は、統計学そのものの理論や手法を深く理解することを目的としており、研究や調査設計などの専門的な分野で活躍したい人に向いています。
現場でデータを活用したい方にはデータ解析士が、理論を深く学びたい方には統計士が適しているでしょう。どちらが優れているというよりも、自分の目的に合わせて選ぶことが大切です。
2.データ解析士に関する詳細情報
次に、「データ解析士」認定試験に関する具体的な情報について確認していきましょう。試験の内容やカリキュラム、申し込み手順などを把握することで、学習計画が立てやすくなります。
データ解析士の詳細
試験名 | 「データ解析士」認定試験 |
---|---|
講座名 | 多変量解析実務講座 |
出題形式 | 自宅でのペーパーテスト形式 |
合格基準 | 非公開 |
入学金 | 5,000円 |
受講料 | 49,500円 |
前提条件 | カリキュラムの課題合格 |
試験結果 | 郵送で通知 |
参考元:https://www.jitsumu.or.jp/courselist/analyze/flow2
上記がデータ解析士に関する詳細です。通信講座という形式で、届いた教材やCDを使って自分で学習を進めていきます。各カリキュラムごとに郵送で課題を提出し、添削を受けながら合格基準をすべて満たせば、試験への挑戦が可能となります。
教材にはExcelを用いた実習も含まれているため、パソコンに加えてCDを読み込めるドライブなどを用意しておくと安心です。通信講座のため自分のペースで学べますが、標準学習期間は4ヶ月、さらに4ヶ月の延長が可能とされているため、計画的に学習を進めることが重要です。
データ解析士のカリキュラムや試験内容
第1単元:データ解析序説 |
1.データ解析の基礎 2.平均値と最小2乗法 3.1変数のモニタリング 4.2変数のモニタリング |
第2単元:単回帰分析 |
1.直線の当てはめ 2.回帰に関する検定・推定 3.回帰診断と変数変換 4.種々の単回帰モデル |
第3単元:重回帰分析 |
1.2変数の重回帰分析(1) 2.2変数の重回帰分析(2) 3.回帰モデルの改善 4.変数選択 |
第4単元:その他の多変量解析 |
1.質的変数を含む回帰分析 2.ロジスティック回帰分析 3.主成分分析(1) 4.主成分分析(2) |
参考元:https://www.jitsumu.or.jp/courselist/analyze/curriculum2
上記がデータ解析士の試験内容となるカリキュラムです。
データ解析士の認定講座では、統計解析の基本から応用的な手法までを段階的に学べるカリキュラムが組まれています。
第1単元では「データ解析序説」として全体像を把握し、その後「単回帰分析」「重回帰分析」「多変量解析」と進む構成です。具体的には、平均値や最小二乗法、モニタリングといった基礎的な内容から始まり、回帰分析に関する検定や推定、主成分分析やロジスティック回帰分析といった実務的なテーマまで網羅されています。
試験ではこのカリキュラムに沿って、理解度が問われる形式で出題されるのが特徴です。単なる暗記ではなく、データを読み解き分析する力や、回帰モデルの改善・変数選択などの応用的な思考が求められるため、実務を意識した学習が重要になります。
データ解析士の受験者数と合格率
データ解析士の受験者数や合格率については、公式ホームページに明確な記載がありません。そのため、数値から難易度を正確に推測するのは難しいと言えます。
ただし、通信講座のカリキュラムでは、課題の提出や合格基準の達成といったプロセスを経て試験に進む仕組みが採られているため、あらかじめ準備が整った状態で受験することになり、比較的合格しやすい試験と考えられます。
データ解析士の申し込み手順と試験までの流れ
公式ホームページのお申し込みフォームにアクセス
必要な情報を記入して送信
銀行振り込みまたはクレジットで決済
通信講座の教材が到着
学習スタート
基本学習と理解度確認
全ての単元の修了報告課題に合格
資格認定試験を受験
上記がデータ解析士の申し込み手順と試験までの流れです。
申し込み後のやり取りは郵送で行われるため、全体で4カ月という受講期間のなかで、計画的に学習を進める必要があります。1つの単元ごとに返信を待っていると時間が足りなくなる可能性があるため、次の単元の学習も並行して進めておくと効率的です。あらかじめ全体の流れを把握し、返信のタイミングに柔軟に対応できるようなスケジュールを立てておくことをおすすめします。
データ解析士の有効期限や更新手続きの有無
データ解析士には、有効期限や更新手続きの制度は特に設けられていません。そのため、一度取得すれば基本的には継続して履歴書などに記載することが可能です。
また、取得した資格そのものが更新を必要としない一方で、実務においては常に新しい手法やツールが登場しています。そのため、学んだ知識を土台にしながら、現場で求められる最新のスキルを自主的にキャッチアップしていく姿勢を持つことが大切です。
データ解析士の難易度や勉強時間を把握する方法
データ解析士の難易度を把握するためには、まず公式カリキュラムの内容を確認し、自分がどの程度理解できそうかを見極めることから始めるのが効果的です。特に、統計やデータ分析に関する基礎知識に不安がある場合は、カリキュラムの各項目を自分の経験や知識と照らし合わせることで、取り組みやすさや学習のハードルをイメージしやすくなります。
また、勉強時間については、認定講座が「4カ月での修了」を想定して設計されている点に留意しておくことが大切です。勉強時間は約120時間。統計学未習者は基礎固めに+30〜60時間程度を見込むことを考慮すると、合計150〜180時間程度で合格レベルに達すると推測できます。
その上で理解度や日々の学習時間に応じて、計画的に進められるかどうかをあらかじめ検討しておくことで、無理のないスケジュールを立てやすくなります。自分に合ったペースを見つけることが、合格への近道と言えるでしょう。
3.データ解析士の認定に向けて勉強するメリット
次に、データ解析士の認定を目指して勉強することで得られるメリットについて解説します。通信講座の特徴や実務経験との関連性、キャリア形成への効果など、資格取得を通じて得られる具体的な利点を見ていきましょう。
通信講座でデータ解析を段階的に学べる
データ分析、特に多変量解析のような高度な手法は、書籍だけの独学で習得するにはハードルが高い分野です。統計用語や数式の意味が分からず、初学者にとってはページをめくるごとに難解さが増していくように感じられることもあります。
その点、データ解析士の講座は、統計学の初学者でも理解しやすいようにカリキュラムが体系化されています。基礎的な用語や考え方の解説から始まり、理論と実践の両面をバランスよく学べる構成になっているため、数学に苦手意識がある方でも無理なく取り組めます。
さらに、レポート課題や添削指導を通じてアウトプットの機会も用意されており、理解を深めながら確実に身につける学習体験が可能です。理論から実践まで、段階的に知識を深めていけるため、着実にスキルの習得へとつなげることができるでしょう。
データ解析分野の実務経験を得やすくなる
データ解析士の資格は、データ分析に関する体系的な知識とスキルを有していることを示す客観的な証明書として役立ちます。そのため、実務経験が浅い場合でも「基礎力のある人材」として評価されやすくなり、未経験からでもデータ関連のプロジェクトに関わるチャンスを得やすくなる点がメリットです。転職活動においても、自身のポテンシャルを効果的にアピールする材料として活用できるでしょう。
実際に、データ分析関連の求人に限らず、実務経験が重視される傾向があり、未経験者にとってはこの点が大きな壁となることも考えられます。こうした状況のなかで、データ解析士の資格を取得しておくことで、基礎的なスキルの裏付けを示すことができ、実務経験のハードルを越えるための第一歩につながるでしょう。
データ解析に関連するキャリアを形成しやすい
データ分析スキルは、一部の専門職に限らず、マーケティング、商品企画、営業、製造、カスタマーサポートなど、さまざまな職種で求められるようになっています。業種を問わず、データに基づいた判断が成果に直結する場面が増えていることから、データ活用の重要性は今後さらに高まると考えられます。
そのため、データ解析士の資格で得られる知識は、日々の業務における判断をより的確にし、現在の職務に新たな付加価値をもたらします。基礎的なスキルを体系的に習得していることから、未経験の領域にも自信を持って踏み出せるようになります。
将来的には、データサイエンティストや分析コンサルタントといった、より専門性の高い職種へのステップアップも視野に入れられるでしょう。実務を通じてスキルを磨いていくことで、データに強い人材として長期的なキャリア形成が可能になります。
4.データ解析士の認定に向けて勉強するデメリット
次に、データ解析士の認定を目指す際に知っておきたいデメリットについて見ていきましょう。資格取得には利点がある一方で、注意が必要な点もいくつか存在します。
通信講座も含めた費用のコストが高い
データ解析士の資格取得には、「多変量解析実務講座」の受講が必須とされており、受講料と入学料を合わせておよそ5万円前後の費用がかかります。さらに、認定試験の受験料も別途必要となるため、全体として一定のまとまったコストが発生します。独学での受験ができない仕組みになっている分、他の資格と比べて費用面でのハードルを感じる方もいるでしょう。
ただし、この費用を単なる出費と見るか、それとも将来的なキャリアアップや収入向上につながる自己投資と捉えるかによって、判断は大きく変わってきます。決して安い金額ではないからこそ、自分のキャリアプランや現在のスキル状況と照らし合わせながら、費用対効果を慎重に見極めることが重要です。
認定の試験に直接挑戦できない
データ解析士の資格は、講座の受講および修了が認定試験の受験資格となっており、いきなり試験だけを受けることはできません。そのため、すでに業務で多変量解析に携わった経験がある方や、他の手段で統計スキルを磨いてきた方にとっては、講座受講が必須という点にやや不便さを感じる可能性があります。
しかし、この仕組みは、受験者全員が一定の学習プロセスを経ていることを保証し、資格としての信頼性を保つために設けられています。講座を通じて学ぶ内容は、単なる復習にとどまらず、実務と結びつけながら体系的に整理されているため、実力の再確認や新たな気づきを得るきっかけにもなります。すでに経験のある方であっても、基礎から丁寧に振り返ることで知識の再構築ができるでしょう。
資格認定単体で評価を得るのは難しい
データ解析士に限らず、多くの資格に共通するデメリットとして、「資格を持っている」という事実だけで高評価や好待遇につながるとは限らない点が挙げられます。あくまで資格は、一定の知識やスキルを有していることを示すものであり、それだけで即戦力と見なされるわけではないという点は理解しておく必要があります。
そのため、資格を通じて学んだ内容を実務でどのように活かすかを、自分の言葉で具体的に説明できるようにしておくことが重要です。具体的には面接の場で、「この資格で習得した分析手法を用いて、業務の課題にどのように取り組むか」といった実践的なイメージを伝えることで、評価につながりやすくなります。
また、データベース関連の資格やその他の統計・分析分野の資格と組み合わせて取得することで、総合的なスキルの証明となり、より高い評価を得られる可能性も高まります。
5.データ解析士に向けた通信講座への取り組み方や勉強方法
最後に、データ解析士の認定を目指すにあたって、通信講座を効果的に活用するための学習方法について解説します。
講座を受講する生活リズムを作る
通信講座は、自分のペースで学習できるという大きな利点がありますが、それと同時に、計画的に進められるかどうかという「自己管理力」が問われます。特に働きながら受講する場合は、仕事や家庭の都合で後回しになってしまい、レポート提出の期限に追われたり、理解が浅いまま進んでしまったりするリスクもあります。
そのため、通信講座を申し込む時点から、学習をスケジュールに組み込み、生活リズムの中に定着させておくことが大切です。具体的には「平日の通勤時間にテキストを読み進める」「週末の午前中にレポート作成を行う」など、自分のライフスタイルに合った学習習慣をつくりましょう。学習を日々のルーティンとして自然に組み込むことで、無理なく継続できるようになり、知識の定着にもつながります。
関連する参考書や書籍を購入して学ぶ
講座で使用する教材は、データ解析の全体像を理解するうえで非常によく構成されています。しかし、理解をさらに深めるためには、関連する参考書や書籍の購入も欠かせません。とくに統計に苦手意識がある方や、数学にブランクがある方は、講座の内容だけではカバーしきれない部分が出てくる可能性があるため、学び直しも含めて学習していく必要があります。
おすすめとしては、統計検定2級、または3級の公式テキストや参考書などが挙げられます。基礎的な統計学の概念や用語の理解が進めば、講座で学ぶ多変量解析といった応用的な内容にもスムーズに取り組めるようになります。同時に、読みやすさなども含めて、自分に合ったレベルの書籍を使って事前に準備をしておくことで、学習全体の負担を軽減し、より効果的な学習ができるようになるでしょう。
資格認定に向けて講座の教材を反復学習する
資格認定を確実なものにするためには、講座の教材を一通り学習した後も繰り返し読み返し、復習を重ねることが大切です。特に、添削で指摘された箇所やレポートで誤答があった内容は、自分の理解があいまいな領域である可能性が高いため、重点的に見直すべきポイントと言えます。Excelなどのツールを使い、手を動かしながら分析手順を再現していくことで、実践的なスキルが着実に身につくようになります。
また、データ分析に必要なスキルは、一度学んだだけで完全に定着するものではありません。特に、多変量解析のような応用的な手法は、理解するだけでなく、適切な場面で使いこなせるようになるまでに時間と反復が求められます。さらに、分析結果の解釈やレポートへの落とし込みといった実務的な力は、実際に作業を繰り返しながら経験を積む中で、徐々に自分のものとして定着していくでしょう。
6.まとめ
本記事では、データ解析士の資格について、その概要からメリット・デメリット、具体的な学習方法までを詳しく解説しました。
データ解析士は、通信講座を通じて体系的に実務的なデータ分析スキルを習得できる、非常に価値のある資格といえます。資格取得はゴールではなく、キャリアの可能性を広げるスタートラインとなり、データ解析や関連分野で活躍するための土台となるでしょう。
データ活用の重要性がますます高まる未来に向けて、データ解析士の認定という成果に自信を深め、新たな一歩を踏み出すきっかけにしてみてはいかがでしょうか。
最後までお読みいただきありがとうございました。
本記事が皆様にとって少しでもお役に立てますと幸いです。
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